ドローン空撮映像撮影の裏側を紹介する「ドローン撮影解説」。今回は、絶景 岡山県高梁市にある吹屋ふるさと村の空撮映像について解説します。
吹屋は、江戸時代に吹屋銅山で栄えた鉱山町でした。江戸時代後期〜明治時代にかけては、銅鉱とともに硫化鉄鉱石を酸化・還元させて人造的に製造した「ベンガラ(酸化第二鉄)」における日本唯一の巨大産地として繁栄したそうです。この街並みの赤い屋根や壁はベンガラの赤。防腐剤としても使えたため、外壁塗装にも用いられました。
この吹屋ふるさと村の魅力を引き出す空撮映像は、もちろんこの「赤」をいかに印象的に見せることができるか…ということになります。そしていろいろな高さを試した結果、屋根とほぼ同じ高さの低空が奥の屋根まで重なって見えてこのベンガラを魅力的に映せるのではないかと思いました。
本映像のドローンの動きはひじょうにシンプルです。ゆっくりと前進しながら、だんだん上昇しながら街並みに合わせて右にラダーしていくというもの。ただ、モデルの女性の歩くスピードのちょっと速いくらい(ゆっくりと追い抜かして後半は女性を画面から消したかった)という微妙な低速や、余計な情報を入れないように屋根すれすれをまっすぐと飛ばすということは、とても神経を使いました。
ドローン映像の制作はドローンの動きを中心に考えてしまう方もいらっしゃるのですが、映像をどのように構成するか(どのような順番で何を伝えるか)…を前提にドローンの動きをシンプルに決定していくことのほうが重要になります。